おいしさづくりの基礎知識
酒粕ができるまで~その特徴と形状~
目次
酒粕とは
酒粕は、清酒製造の「圧搾」と呼ばれる工程後に残った「搾りかす」のことを指します。 酒粕には清酒の原料である米や米こうじ、酵母由来の炭水化物やたんぱく質、ビタミンなどの栄養素が豊富に含まれており、様々な食品の原料として利用されています。
酒粕を特徴づける要素
酒粕の風味は、製造する清酒の風味に由来します。 清酒は大きく特定名称酒と普通酒に分けられます。特定名称酒とは、原料や精米歩合、風味で定められた基準や要件を満たした清酒の呼称で、下の表のように8種類あります。
吟醸酒の製造で得られる酒粕は、吟醸酒ならではの華やかな香りを持ち、お菓子づくりに使うとその香りを楽しむことができます。また、純米酒や本醸造酒の酒粕は、穏やかな香りと米由来のうまみがあり、粕漬けや粕汁といった食材を楽しむ料理に適しています。
酒粕の形状
酒粕は、醪(もろみ)の圧搾方法や酒粕の使用用途によって形状が異なり、呼び方も変わります。 自動醪圧搾機で圧搾すると、板状の酒粕が得られ、正方形などに形を整えたものを「板粕」と呼びます。また、醪を袋に入れて圧搾すると、ばらけた酒粕が得られ、これを「ばら粕」と呼びます。板粕とばら粕はスーパーの店頭で販売されています。 一方、奈良漬けなどに使われる酒粕は「踏み込み粕」といい、板粕やばら粕を熟成させることでうまみと風味が増します。熟成により自己消化が進み、褐色のペースト状になります。
出典
- 『醸造物の成分』,(財)日本醸造協会
- 『清酒の製法品質表示基準の概要』,国税庁
- 『清酒製造技術』,(財)日本醸造協会
- やまはた のりこ 著,『極旨!酒粕レシピ からだの中からきれいになる発酵食100』,講談社