おいしさづくりの基礎知識
こうじとは
主なこうじ菌の種類と特徴
「こうじ」とは、米、麦、大豆などの穀物を蒸したものにこうじ菌を繁殖させたものです。その機能性は多岐に渡り、日本独自の調味料や酒の製造にも深く関わる原料です。食品製造で使用される主なこうじ菌の種類を表にしました。
他、かつお枯節のカビ付け工程にもこうじ菌が使われています(Asp.glaucusなど)。中国では、クモノスカビ(Rhizopus属)が紹興酒などの原料である「麦こうじ」に比較的多く利用されています。
こうじ菌の役割
こうじ菌は、多種多様な酵素を生産する 「酵素の宝庫」です。食品製造に使用することで、下記のような働きをします。 ①でんぷんやたんぱく質を分解する酵素を生成し、でんぷんをブドウ糖に、たんぱく質をアミノ酸 に分解します。 ②酵素で分解生成されたさまざまな成分は、食品の特徴となる香りや味の構成要素になります。 ③酵母や乳酸菌の発酵に必要な栄養源(ビタミンなど)を供給する働きもあります。
こうじ菌が酵素を作る理由
こうじ菌は、でんぷんやたんぱく質をそのままの状態で吸収し、利用することができません。 そのため、酵素を体外に分泌し、でんぷんをブドウ糖に、たんぱく質をアミノ酸に分解して吸収できるようにしています。このような性質から、こうじ菌は他の微生物より酵素生産能力が高く、この特長を生かして、多くの食品に利用されています。
出典
- 村上 英也 編著,『麹学』,(財)日本醸造協会
- 岩野 君夫,『清酒醸造と酵素』,日本醸造協会誌,74巻4号206-212(1979)