おいしさづくりの基礎知識
酵素のはなし
酵素の性質と利用方法
生物の生命活動は化学反応の集積です。 その化学反応の主役が「酵素」と呼ばれている生体触媒です。 酵素の主な性質として下記4点が挙げられます。 ① 作用するための最適な温度、pHの範囲がある ② それぞれの反応に対応したそれぞれの酵素がある ③ 酵素自体は反応の前後で変化しないので活性は持続 ④ たんぱく質なので熱で変性し活性を失う 現在ではさまざまな酵素が工業的に生産され、産業分野や家庭内でも利用されています。
醸造に関わる酵素
酵素にはさまざまな種類があることについて説明しましたが、醸造に関与する酵素の代表的な種類と特徴についてまとめます。
糖質加水分解酵素
糖質加水分解酵素は、でんぷんやオリゴ糖などを加水分解する酵素の総称です。
プロテアーゼ
プロテアーゼは、たんぱく質に含まれるペプチド結合を加水分解する酵素の総称です。
リパーゼ
脂質を構成するエステル結合を加水分解し、脂肪酸を遊離させる酵素です。 清酒製造において、原料米由来の脂肪酸は清酒の風味に影響します。低精白米を使用する時などは、脂肪酸を除去しやすくするためにリパーゼが用いられています。
その他の酵素
これまでに述べた酵素以外にもさまざまな酵素が醸造には関わります。
出典
- 村上 英也 編著,『麹学』,(財)日本醸造協会
- 岩野 君夫,『清酒醸造と酵素』,日本醸造協会誌,74巻4号206-212(1979)