おいしさづくりの基礎知識
においの解決策② ~におい物質の物理的除去、香りによるマスキング~
物理的、感覚的消臭方法
食品の不快なにおいとその要因は様々です(「食品の不快なにおい」ページをご参照ください↓)。 これら不快なにおいに対する消臭方法は、大きく3つに分けられます。 ①化学的消臭方法 ②物理的消臭方法 ③感覚的消臭方法 ここでは、②物理的消臭方法、③感覚的消臭方法についてご説明します。 物理的消臭方法とは、発生してしまったにおい物質を蒸発や吸着といった物理現象によって食材から除去する方法です。 感覚的消臭方法とは、別の香りを上乗せして不快なにおいを感じにくくさせる方法です。
アルコールの共沸効果
アルコールは、揮発する際に他のにおい物質も同時に揮発させる効果があります(共沸効果)。 この効果を活用して不快なにおいを除去することができます。魚の生臭みの原因物質であるトリメチルアミン(TMA)など、揮発性の高い物質にはより効果的です。
固形分吸着
固形分吸着とは、味噌や酒粕、米こうじなどに含まれる固形分に、におい物質を吸着させて不快なにおいを除去する方法です。 においが課題となる素材を固形分を含む調味料に漬けこんだり、一緒に煮たりすることで、においの改善を図ることができます。魚の粕漬けやみそ煮などが良い例です。 他にも、家庭では臭み消しのために、モツを小麦粉で揉み洗いしたり、にんにくやレバーを牛乳に漬け込んだりしますが、これらも固形分吸着を活用した方法です。
香辛料や調味料によるマスキング
これまで挙げてきた消臭方法でも除去できない不快なにおいに対しては、香辛料や調味料などの好ましい香りを付与して感じにくくさせることが効果的です。代表的な例としては、ハーブやワイン、清酒の活用があげられ、料理の風味にあわせて使うものを選びます。
出典
- 高倉 裕,『高付加価値酒類調味料の開発』,食品工業,45巻9号,54-59(2002)